梅田川架橋工事

豊橋市国道23号線梅田川の橋梁架設工事 平成23年1月〜平成23年6月

1.国道23号線について

豊橋市は国道1号線が街の中心部を通り、東八町・西八町などで慢性的に渋滞しています。他に迂回路がありません。建設中の国道23号線名豊道路は、国道1号線渋滞解消のバイパスとして早期実現が期待されています。
国道23号線名豊道路は名古屋市と豊橋市を結び沿線の8市1町を通過する延長73kmの大規模バイパスで、地域高規格道路として整備が進んでいます。
昭和47年に事業が着手され、現在までに、2車線を基本として総延長の約64%にあたる47kmが開通し、このうち12kmの区間が4車線で開通しています。

2.梅田川橋梁架設工事

梅田川架橋工事が行われている豊橋バイパスは2車線でほぼ開通していますが、4車線化の工事が行われています。

梅田川橋は河川部に3橋脚、陸部に1橋脚の4橋脚で5径間の4主鈑桁(ばんげた)の橋で、今開通している橋の横に平行して架けられます。

4主鈑桁というのは、”I”の字形に鉄板を組んで、主桁にした鈑桁を、4本橋脚間に渡す橋をいいます。

架橋工法は設置場所の条件や規制などによって決まってきます。梅田川架橋工事は川の急な増水もあり得るので、法的規制があります。

川に仮橋を作り、ベント(支柱)工法で行われることが多いのですが、送り出し工法が取られました。

送り出し工法は先端に鉄材のトラスを組み、橋桁をひたすら送り出してゆく工法です。線路を跨ぐようなときに取られる工法です。

工事は平成23年1月に始まりました。橋脚の上を滑らせて行くので、各橋脚にはそのような準備をしておかなくてはなりません。

長いクレーンで架設機材は運ばれました。このクレーンは1.6トンの機材を76m先まで運ぶことができます。

機材運搬用クレーン(1/17) 対岸から見たクレーン(1/17)
架設機材(1/17) 橋脚上の準備もできました(2/23)

2.工事の経過

川の中の3橋脚のうち2橋脚に運ぶ機材は上記の長いクレーンで運搬し、対岸側の1橋脚については対岸側よりのクレーンで運ばれました。
3個の短い橋桁を繋いで約1径間となります。トラスの手延機に橋桁を取り付けて送り出しますが、短い橋桁1つ取り付けてその度に送り出します。

桁が送り出されました。黄色いのは手延機です。(3/14) 左の写真の4日後です。1径間架かりました。(3/18)

半月後2径間まで届きました(4/1) 左の写真より半月後3径間まで届きました(4/15)

さらに10日後4径間まで届きました(4/24) 左の写真から10日後、あと半径間を残すのみとなりました(5/5)

3.送り出し方

送り出すにしたがって、橋桁は長く重くなります。送り出す油圧ジャッキはどこに据えるのでしょうか。
桁が4主鈑桁なので各橋脚の上に4基据えられます。送り出すにしたがって多くなり最高、4基×6で24基のジャッキを使います。この操作は1ケ所で行います。

桁は4主鈑桁、ここにジャッキを当てます(5/6) 建設機材で支えられている桁(5/6)
油圧ジャッキ。垂直ジャッキも見えます。2つ入れてあります。この上の方に橋桁が乗っています(5/6) 油圧ジャッキ操作盤(5/6)

滑らす面はどのようになっているのでしょう。そこには摩擦係数の少ないテフロン材を使います。
ここは、桁を支える垂直ジャッキ、桁を移動する水平ジャッキ、すべり面に入れるテフロン材が一体となった機械を使用します。テフロン材は直径15cm、厚さ1、5cmほどのものです。摩擦係数が氷以上に低く0.1です。
その様子を下の図に示してみます。垂直ジャッキで桁を持ち上げ、水平ジャッキで垂直ジャッキごと引っ張ります。すべり面は垂直ジャッキと鉄骨面ですが、ここにテフロン材が入れてあります。引っ張る距離は1mほどで、またジャッキを元の位置に戻し引っ張るということを繰り返します。

油圧ジャッキ。この上を滑ることで移動する(5/6)

真近かで見ると、桁の大きさには圧倒されます。機械による作業がほとんどですが、橋台上では手作業も多くなります。この橋もわずかにカーブしており、桁を繋ぐときに角度を変えているそうです。

4.桁の降ろし方

半月後には桁は対岸まで届き、黄色い先端のトラスもすべて外されて、桁を橋脚に降ろす作業が進んでいました。桁は両端の道路より1.5mほど高くなっているので、今度は桁を橋脚まで降ろさなければなりません。
桁を降ろすには、各橋台及び桁の両端に垂直ジャッキを据えるので、合計4基×6ケ所で24基据えることになります。以前のジャッキが取り払われ、垂直ジャッキが据えてありました。

橋が架かりました。(5/22) 垂直ジャッキ(6/11)

桁の降ろし方は、橋脚1ケ所ごとに15cm(これは建設鋼材の高さでもある)ずつ降ろしてゆきます。桁は多少撓むことになりますがこの程度ならよいようです。重量の関係で桁の両端を最後に降ろします。
橋台で橋桁を受け止めるにはゴム材を挟んだシュー(沓座 しゅうざと読みます)を使います。橋桁により滑りを入れるところと入れないところがあります。滑りには以前はコロを使っていましたが損傷が多く、今では摩擦係数の小さい材質を使っていることが多いようです。

桁の降ろし方 橋脚上で桁を支えるシュー(6/11)
橋は橋脚上へ降ろされました(6/11) 橋を反対側から見ました(6/11)


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