新東名いなさ連絡路

浜松いなさJCTから三ケ日JCTまで 平成22年7月〜平成24年4月(開通まで)

1.東名連絡道路について

東名高速道路と新東名高速道路の連絡道路は引佐連絡路と清水連絡路(新清水JCT、清水JCT 4.5km)の2路が設けられますが、ここで紹介するのは、浜松いなさJCT、三ケ日JCT間の引佐連絡路です。距離は12.7kmで、主としてトンネル出入口付近と橋の紹介です。

浜松いなさJCT付近はいま、新東名、引佐連絡路、三遠南信道、引佐IC、引佐北ICと、各所で大工事が行われています。(平成22年7月記)

新東名高速道路は三遠南信自動車道と同様、昭和62年(1987年)に「四全総」(第四次全国総合開発計画)で閣議決定されました。

新東名高速道路は中日本高速道株式会社が建設する道路です。

片側2車線で、最高時速120k/mで計画されています。

三遠南信自動車道は平成24年(2012年)2月が開通目標ですが、新東名高速道路の御殿場IC,浜松いなさJCT、三ケ日JCT間の開通目標は平成25年(2013年)になっています。(この開通時期は後日変更になりました)

新東名高速道路の御殿場IC,浜松いなさJCT間でのトンネルは29.4%、橋梁は32.4%となるそうです。

東名高速道路はトンネルは3.0%、橋梁は14.9%となっています。三遠南信自動車道もそうでしたが、これからの道路はトンネルと橋が中心の道路になるようです。






2.浜松いなさJCT〜三ケ日JCT 間の概要

三遠南信自動車道は引佐北ICで終わり、そのまま直進して行くと、東名・新東名引佐連絡道路に繋がって三ケ日JCTに至ります。連絡道路は浜松いなさJCT側が起点となるので、トンネルは浜松いなさJCT側が入口となります。

トンネルは2つあり、奥山高原を貫く引佐トンネル(上り1347m、下り1528m)と、風越峠を貫く三ケ日トンネル(上り1568m、下り1533m)があります。引佐トンネルは平成16年(2004年)に貫通し、三ケ日トンネルは平成17年(2005年)に貫通しております。

両方のトンネルとも、中央構造線の東南端に位置し、地質が脆く難工事であったようです。
また高架橋は3ヶ所あります。

3.浜松いなさ北ICから浜松いなさJCTへ

三遠南信自動車道を直進すると、浜松いなさ北ICとなり、料金所があります。

三遠南信自動車道は無料であるので、浜松いなさ北ICは料金所の手前がランプウェーとなっています。

三遠南信自動車道から連絡路に行くには料金所を通り、JCTの道路が交錯する下を通って直進して行きます。

三遠南信自動車道から新東名高速道路に入るには料金所を通ってすぐにランプウェーを行きます。

つまり図の赤い三遠南信自動車道を真っ直ぐに行き、青い道を行けば、三ケ日JCTへ、橙色のランプウェーを行けば桃色の新東名です。

この引佐町では四方浄が引佐北IC、JCT 東黒田がJCT、西黒田が引佐IC、的場もJCTと高速道路の要衝の町となりました。

写真で浜松いなさ北ICから三ケ日JCT側へ順次見ていってみます。このJCTの写真は平成23年11月26日に撮りました。













引佐北ICを直進すると連絡路料金所となります。
上図での撮影位置@
料金所を通った後のところです。  A
左右からのランプウェイがこの先で重なります。  B ここから分岐し新東名に入ります。  C
新東名から連絡路に出るランプウェイ。右が浜松方向    D    工事中のときの左現場。(平成23年1月4日)   E


4.引佐ICから引佐トンネルへ

JCTを過ぎるとすぐに引佐ICがあります。新東名あるいは連絡路からの出入りはこの引佐ICからとなります。引佐ICは新東名高速道路本線上にあるのではありません。そのまま連絡路を直進すれば、三ケ日JCTに行きます。

三遠南信道を直進して浜松いなさICへ来たところです。(11/14)  H 三ケ日方面からの車が降りる浜松いなさICのランプです。
奥が三ケ日JCT方向(11/14)    H
連絡道は山を掘削した引佐の丘陵地帯を通ります。以前は山でしたから、よくぞこんな道を作ったと土木の技術に感心させられます。一般道から見るとかなり高いところを通っています。
こんな道が続きます。奥が浜松いなさJCT方向です(12/5) 左の写真の橋から三ケ日JCT方向を見ました(12/5)

丘陵地帯をしばらく走ると、奥山狩宿地区となり、ここは県道68号線と陣座川を跨ぐ高架橋となっています。この高架橋は連絡道路の中では一番高い橋となっています。

狩宿の高架橋を渡るとすぐに引佐トンネルです。連絡路のトンネルはいずれも上り下り別々になっており、長さも違います。上り下りとも長さはおよそ1.5kmです。

引佐トンネル手前の狩宿の高架橋です(11/14) 狩宿の高架橋を離れたところから見ました。
写真の左が浜松いなさJCT方向です(12/5)
狩宿の高架橋を上から見ました。
奥が浜松いなさJCT方向です(11/14)
引佐トンネル出口です。(11/14)


5.引佐トンネルから三ケ日トンネルへ

2kmほどで三ケ日トンネル入口となります。トンネル手前は高架橋になっています。狩宿の高架橋もそうでしたが、高架橋は「2主鈑桁」となっています。「2主鈑桁」というのは、”I”の字形に鉄板を組んで、主桁にした鈑桁(ばんげた)を、2本橋脚間に渡す橋をいいます。軽くて安いのが特徴ですが、大きくカーブした橋には不向きです。

三ケ日トンネル手前の高架橋です。右が浜松いなさJCT方向(12/5) 高架橋を渡ると三ケ日トンネルに入ります(11/14)
三ケ日トンネル入口を下から見ました。高架橋は2主鈑桁です(12/5) 三ケ日トンネル出口の高架橋です。左が三ケ日JCT方向です(12/5)

6.三ケ日トンネルから三ケ日JCTへ

三ケ日トンネルも長さ1.5kmほどで、トンネルの上の風越峠は三ケ日と奥山を結ぶ交通要衝点として、古くから行き来がありましたが、いまは道が細くあまり走りたくない林道です。峠は富幕山や尉ケ峰の登山口にもなっています。また峠を少し下った只木集落には三ケ日原人遺跡があります。さらに下った集落には歴史のある摩訶耶寺や大福寺があります。

トンネルを出ると三ケ日です。三ケ日はみかんの町、一面みかん畑が広がっています。みかん畑のなかを2kmほど行くと、三ケ日JCTとなります。途中にも川名高架橋もあります。

三ケ日トンネル出口を振り返りました(10/11) 三ケ日JCT直前の大福寺橋から浜松いなさJCT方向を見ました(12/5)
三ケ日JCTです(12/5) 三ケ日JCT


この引佐連絡路は12.7kmで、開通は平成25年(2013年)春が目標になっています。三遠南信自動車道は平成24年(2012年)3月が開通目標ですが、三遠南信自動車道よりも工事が進んでいるようにも思えます。開通が楽しみです。工事の無事の進展を祈ります。(平成22年12月記)

7.その後の変化

引佐連絡路である浜松いなさJCT〜三ケ日JCT間の開通が、平成24年(2012年)初夏になりました(平成23年8月26日決定)。予想した通りになりました。平成25年(2013年)春が開通予定でしたからかなり早まったものです。(平成23年9月16日記)

国土交通省中部地方整備局は12月21日、三遠南信自動車道 について開通時期・IC名を発表しました。開通時期は平成24年 3月4日となりました。東名・新東名連絡路の引佐ICも浜松いなさICとなりました。(平成23年12月23日記)

引佐トンネルは奥山トンネル、三ケ日トンネルは富幕山トンネルとなりました。

新東名高速道路の開通日時が1月27日、中日本高速より発表されました。平成24年4月14日(土)午後3時開通となりました。当初予定は平成25年(2013)春ということでしたから1年近く前倒しとなりました。(平成24年1月28日記)


8.新東名自転車散歩 奥浜名湖ちゃり天イベント

(ア)イベント内容

平成24年 3月4日、開通間近になった東名新東名いなさ連絡路を、自転車で散歩してみようというイベントがありました。この機会を逃しては引佐連絡路を見るときがないと思い参加しました。3月4日は三遠南信道の開通日でもあります。

浜松いなさICをスタート・ゴールとし、三ヶ日町只木で折り返す往復約15q、高低差100mのコースです。のんびり景色を楽しみながらサイクリングする内容です。近くの特設会場では、物産展や軽トラ市もあります。


受付8時〜9時半 出発10時です。会場の浜松いなさICに9時に着きましたが、もう車がいっぱいです。一斉にスタートしたのでは危険なので、グループ毎にずらして出発です。車の通行とは反対に、行くときは下り線を、帰りは上り線を走りました。出発すれば後は自由です。当方は工事完成を見るのが主なので、あちこちで停まり写真を撮ったり、高架橋の下を覗いたりしました。

新東名自転車散歩チャリ天コース 料金所を出口の方から入ります

トンネル名や高架橋名はこのホームページを書き始めたころとだいぶ違っています。上の図にはその後の名称で書き入れてあります。

(イ)道路完成状況

浜松いなさICは新東名本線添いでなく、連絡道路添いに設けられており、JCTより500mほど離れたところにあります。勾配もそれほど急でもありません。本線までは自転車に乗れないので歩きます。雨も降り出しました。

ランプウェイを歩いて西黒田高架橋にでました。道路は案内板もしっかり付けられていました。中央分離帯は樹木でなく、コンクリートやガードレールとなっています。ガードレールの色は景観に溶け込むよう灰色です。

掘割の丘陵地の道がしばらく続き、狩宿の高架橋となります。景色もよく連絡路中では一番高い高架橋です。10階建てビル以上の高さはあると思います。道を走っているときはそのようなことはわかりません。

すぐに奥山トンネルに入ります。上下で長さは若干違いますが約1.5kmです。明かりも灯され立派に出来上がっています。奥山高原の下を通っております。

奥山トンネルを抜けたところの側壁は高い崖となっています。この工事は遅くまで掛かったようです。コンクリートの四角い枠が組まれ、おそらく20mほどのロックボルトが打ち込まれていることと思われます。

浜松いなさIC 振り返って浜松いなさJCTへの案内板を見ました
狩宿高架橋と奥山トンネル入口 奥山トンネルを出たところの斜面 ロックボルトが打ち込んであります


奥山トンネルを抜けて山間部を行くと、富幕高架橋を渡り、富幕山トンネルに入ります。富幕山トンネルは三ケ日JCT方向へは下りとなっています。長さはやはり1.5kmほどです。

富幕山トンネルを出たところは只木高架橋になっており、すぐに今日の折り返し点となりました。帰りは少し登りとなります。

富幕高架橋を通り富幕山トンネルに入ります 折り返し点


イベント会場に戻ってきました。イベントもあり、いろいろな店が出ております。しかし雨も強くなってきたので会場のほうには行きませんでした。時刻は12:10でした。車はさらに多くなり、路肩にも溢れていました。

今日は三遠南信道の開通日でもあります。午後3時から開通です。近くでもあり、ぜひ走ってみたく思いましたが、3時間待つことになるので今日は止めにしました。

9.折り返し点から三ケ日JCT完成状況

イベントでは只木高架橋の先で折り返しであったので、三ケ日JCT付近の完成状況は開通前に見てきました。只木高架橋と三ケ日JCTの間には川名高架橋もあります。みかん畑を抜けて掘割の道となり、三ケ日JCTです。

開通まであとわずかなので、最後の仕上げが行われていました。道路は出来上がっていますが、標識、街路灯などの設置など期限に間に合わせるべく工事が行われていました。大工事がいま完成しようとしています。

三ケ日JCTの大福寺橋より浜松いなさJCT方向を見る(24.3/7) 三ケ日JCT 左が東名へ入る車線、
右が東名から連絡路へ入る車線(24.3/7)

10.新東名高速道路開通

平成24年4月14日午後3時、新東名高速道路がいよいよ開通となりました。これは交通事情の一大変革となります。日本の中心を走る162kmが一挙開通です。

大工事は大変興味があるところですが、このような長い距離の各所を見ることは不可能です。しかし浜松いなさJCT〜三ケ日JCT間の連絡路は何度か通い、工事過程を見ることができました。

そのようなこともあり今日の開通は感慨もひとしおです。よくぞ造り上げたという思いがします。

開通については 新東名のホームページ にも書きましたので、そちらも見ていただきたいと思います。

当ホームページは1年10ヶ月ほどに亘り書いてきましたが、これで終了といたします。

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